テーマはエジソン 3

「何をしていたのである!」
「あれ…?」
 久磁家に戻ったオーディーンを出迎えたのは、すっかりご機嫌斜めのエジソンだった。


「起きてたのか、エジソン。アーサーはどうした?」
「アーサーはちょうどさっき休眠用カプセルにはいったところである」
「そうか。良かった」
「良くなーい!」
 思わず耳を押さえそうになる大声。ぐっとつめよってくるエジソンに、オーディーンはたじたじとなる。
「連絡もいれずに、こんな時間まで、いったい、どこで道草を食っていたのである!?呼び出しにも全然答えなかったであるな」
「あ…そうだった」
 すっかり本に夢中になって、パトロールのことを失念してしまっていたのだった。オーディーンのつぶやきに、エジソンは方眉を大げさにはねあげた。
「ほほ〜う、君は任務のことを忘れるほどずいぶんと良い思いをしてきたのであるか?」
「そう噛みつくな、俺が悪かった。麻美が図書館に行くって言うから…すこし気分転換をするだけのつもりだったんだが、つい時間を忘れてしまってな。申し訳ない」
 謝ると、エジソンはあっさりと矛先を納めてくれた。
「ふむ。まあ、地球文化に興味を持つことは悪いことではないのである。以後気をつけてくれたまえ」
「ああ。すまんな」
「もう、いいのである。後でアーサーにも謝っておくのであるよ」
 謝る度に、エジソンはどうにも決まり悪そうにそわそわする。なんとなく気になるが、訊ねるにもきりだしようがない。…それは結局のところ、オーディーンがエジソンに怒られるとつい謝ってしまうのと同じような理由だったりする。
「それにしても元気だな。よく休んだようだな」
「うむ。おかげで僕の灰色の脳細胞は絶好調なのである」
「灰色の脳細胞?」
「地球人的な言い回しである」
「そ、そうか。よくわからんな、地球の言い回しは」
「なかなかに奇抜なアイデアや示唆を含んでいるのである。興味は尽きないのであ〜る」
 すっかりいつもの調子である。彼を休ませて正解だったようだ。
「裕太はどうしてる?」
「熱も下がって、耕平とビデオゲームをしているのである。…ビートローダーは僕が格納庫に運んでおくから、顔を見せてやるといい」
 どうやら、礼を言うほどのことではない、だが感謝しているところはすっきりさせておきたい、そんなところらしい。昨日の一件で感謝しているのはこちらだというのに、勝手なものだ。
「パトロールをさぼった挙げ句にそこまでさせる訳にいかんだろう。大した手間じゃない」
「それもそうであるな。…それではついでに、僕の作業を手伝っていくのである。ナニ、大した手間は取らせないのであるよ」
 と、軽くウィンク。今更ながら、エジソンの術中にはまっていたことに気付かされる。
「やれやれ、相変わらず人使いの荒いことだ」
「ほらそこッ、ぼやかない!さぼった分はきちんと働いてもらうのであ〜る」
「わかった、わかった」

 実際のところ、エジソンに振り回されるのを楽しんでいるのである、オーディーンも。


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その昔放映していたテレビアニメ「小さな巨人ミクロマン」です(笑)。
フレッシュプリキュアみてたら急に懐かしくないました。

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