2010-01-01から1年間の記事一覧

お父さんは心配性

スタア☆スタア城2階、賑やかな大広間。集まった人達はみんな着飾って、そわそわと主賓の登場を待っているところ。 「まさかね…」 「あの2人がね…」 そんなささやきもちらほら。

はじめまして

ハイランド皇国の皇女ジルは、物心付くと後宮の奥で人目をはばかるように育てられてきた。そう彼女が感じるのは単に、思いこみかも知れない。父王は時間を作って彼女の様子を見に来るが、彼女の目を見たことはなかった。王妃は病弱と言うことでやはり彼女か…

はじまらないのはじまりED

火炎槍の修理を頼むため、リューベ近くの山奥に住むツァイを訪れたネロ達。

間食

すたすた、とあまり遠慮を感じない足音がこちらに近づいてくるのを背中に聞いて、ニケアはちょっとだけ気が重くなった。 (あの人、苦手なんだよね…) 偉そうだし。 時々見ていられないようなことがあっても、全然平気そうにしていたり。そういうところもす…

帰り道

はずかしいピンクの3輪自転車に、くくりつけられたやはりピンク色の荷台。どういう意味か分からないが殴りかかれている「069」の数字。 そして、何故かがんじがらめに縛り上げられて荷台に載せられているオロク。 3輪自転車を楽しそうに漕いでいるワシ…

寄り道

「これでは、たいした金額にもならぬな」 たくましい眉を器用に持ち上げて、アズラット老人は断言した。 「なんだと?」 苦労してレルカーから運んできた本の山を背に、オロクは憮然と問い返した。

ふて寝

その日は木陰をザムザが独り占めしていた。

昼寝

厳しい寒さも束の間にゆるみ、正午を過ぎた辺りになると日差しは日を追う事に暖かくなってきた。食後の小休止、とばかりに、芝生のそこここに気持ちよさそうに寝ころび午睡をむさぼっている者も見受けられる。 その男も、気持ちよさそうに木陰の良い位置を占…

これまで

不思議なことに、坑道の中は真っ暗ではない。どういう理由かは分からないが、壁や天井の所々に淡く光る部分があり、まるで星空の中に落ちたみたいだ。 その輝きに夢中になり、坑道に入っていった当初の怒りも忘れ、気が付いたらずいぶんと奥まで入り込んでい…

これから

穏やかな天気ながら、上空は風が強いらしく、小さな雲がやや足早に流れていく。遠くに大きな雲の固まりが見えるが、今日中はこの青空は持つだろう。 流れていく雲を目線で追いかけながらそのような事を考えていたためか、その人物の接近にセシルが気づいた時…

弱点

大会の翌日、田所と巻島は何となく誘い合うようにして、地元の病院にやってきた。

イレギュラー

ギュッ・・・ギュッ・・・。ペダルをやっと回して、チェーンとギアが軋む音。それと、自分の上がりきった息づかい。後は、姿が見えないのにどれだけいるのか見当もつかないような鳥の鳴き声。 それだけ。後は、ただただ静寂だ。

カウントダウン

ヒタリ、ヒタリと暗い廊下を素足で忍んで進む足音。夜も更けて、屋内からは物音一つ聞こえない。 鳴子の思いはただ一つ、食料のみ。

ミクロポップは笑わない

それは、地球を去ったミクロマン達と再会して、 しばらくしてからのことだった。そのころ、 春と形容するには まだ肌寒いような陽気が続いていたと思う。久しぶりに研究所の外に出た僕は、 みんなと再会した土手で、 彼(と呼んでいいのだろうか?)に出会っ…

テーマはエジソン 3

「何をしていたのである!」 「あれ…?」 久磁家に戻ったオーディーンを出迎えたのは、すっかりご機嫌斜めのエジソンだった。

テーマはエジソン 2

頑固者同士の押し問答になるかと思いきや、オーディーンの静かな仲裁でエジソンはあっさりと折れた。言葉少なに言いくるめる様はなかなかに感動的ですらあった。それはオーディーンだから出来ることで、自分にはできそうもない技術ではある。

テーマはエジソン 1

それはオーディーンがビートローダーに乗ってパトロールをしていたときのこと。交通の邪魔にならないよう、道路の端を走行していたオーディーンは、角のところで人とぶつかりそうになった。

ポメラの来た日 4

それは幼稚園 ボルガンと向き合うことしばし、ロイは沈黙したまま足下をにらみつけている。

ポメラの来た日 3

珈琲はお好きですか? 駅前の通りの、知っている人だけが通り抜けるような細い路地の先に、小さな珈琲専門店がある。店舗はあまり狭い方ではない。女性の好むような菓子の類がほとんど置かれていないためか、いつ入っても、暇そうな男性客が数人、ダラダラと…

ポメラが来た日 2

雪かき日和 その年の年末は、珍しく雪が降った。そのタイミングで降らなくてもよいだろうに、というタイミングで。

ポメラが来た日 1

狭い歩道に積み上がったケース入りのニンジンやらダイコンやら、それをあれこれと吟味する年季の入った主婦だとか、それらを避けて走る自転車だとかとすれ違いながら歩くのは、なかなか容易なことではない。