怪盗のある店

 犯罪組織ギャングラーのボスであるドグラニオ・ヤーブンが国際特殊警察機構に逮捕され、人類がギャングラーに脅かされる毎日はもう昔のこととなりつつあった。しかし、まだ過去のものにはなっていない。
 平和を守る為の戦いは、かつてのものに比べればひっそりと、でも変わらぬ激しさで続いている。国際警察では今なお戦力部隊パトレンジャーがルパンコレクションを駆使してギャングラーを追い、人々のあずかり知らぬ所ではルパンレンジャー達もまたルパンコレクションを追っていた。

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破天荒のありか

 ヘラクレス・ファクトリーでは月に2度ほどの頻度で教師に当直が回ってくる。実のところ、バッファローマンはそれを楽しみにしていて、その日も何か生徒がしでかしていないかとむしろ胸をわくわくさせながら夜の見回りを開始。

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メモ 2

 雲間から漏れるぼんやりとした朝の光が広いホールに注がれている。
 その中にぽつんと黒く浮き上がるグランドピアノは、まるでおもちゃのように見える。
 ゆっくりと時間をかけてそこまでたどり着き、蓋を開けようと触れたところに、くっきりと自分の指紋が付いた。
「……」
 しかしためらうこと無く、そのまま指先に力を込めて重い蓋を持ち上げる。
 蓋の中身はつやつやと柔和な光を放ち、使い込まれていること、手入れが行き届いていることを主張している。
 それにも構わず、人差し指で適当な鍵盤を無造作に弾く。
 ――――
 静かな邸内に、ハンマーが弦を叩いた反響が染み渡っていく。
「…まいったなあ」
 椅子に腰を下ろしながら、成歩堂はニット帽ごと頭をさする。
「これ、後ろの蓋って開けた方が良いのかな…」
 しばらくぼんやりと、ホールに残る残響に耳を澄ませてから、成歩堂はいきなりそれを開始した。

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メモ 1

 今日の朝食は、いつもより早めの時間。
 広いダイニングテーブルのいつもの席、広げられた朝刊の向こう側にパラダイムシティのネゴシエーターロジャー・スミスがいる。

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