ザハーク

ポメラの来た日 10

その日、ザハークがレルカーに通うようになって、はじめてまともに、オロクから頼みごとをされた。

ポメラの来た日 8

しとしとしとしとしとしとしと、雨は止みそうで止まない。子供たちが学校から帰ってくるにはもう少し。路地はつかの間、穏やかな静寂の中。 ザハークは窓際にミニちゃぶ台を移動させて、ポメラを開いたまま、のんびり外の様子を眺めている。

ポメラの来た日 6

電車から降りると、どんよりしていた雲からついに雨粒が落ち始めてきたようだった。 「あー、やっぱり傘持ってくるんだった…!」 レルカーまでこのまま歩いて帰る気にもならず、ニケアはとりあえず駅前のファーストフード店に入る。 (誰か通りがからないか…

ポメラの来た日 5

ベランダに出た彼は、こちらを振り向くとやたら晴れやかに笑った。 「何度みてもここからの眺めは良いな」 妙なことを言うものだ。

ポメラの来た日 4

それは幼稚園 ボルガンと向き合うことしばし、ロイは沈黙したまま足下をにらみつけている。

ポメラの来た日 3

珈琲はお好きですか? 駅前の通りの、知っている人だけが通り抜けるような細い路地の先に、小さな珈琲専門店がある。店舗はあまり狭い方ではない。女性の好むような菓子の類がほとんど置かれていないためか、いつ入っても、暇そうな男性客が数人、ダラダラと…

ポメラが来た日 2

雪かき日和 その年の年末は、珍しく雪が降った。そのタイミングで降らなくてもよいだろうに、というタイミングで。

ポメラが来た日 1

狭い歩道に積み上がったケース入りのニンジンやらダイコンやら、それをあれこれと吟味する年季の入った主婦だとか、それらを避けて走る自転車だとかとすれ違いながら歩くのは、なかなか容易なことではない。