ザムザ

ポメラの来た日 9

ガラガラ、と乱暴に玄関の戸口の開く音。ニケアあたりが帰ってきたのか、とワシールが顔をのぞかせると、そこにいたのはレルカーの住民ではなかった。 「…これは、ザムザくん。いらっしゃい」 「うむ。オロクはいるかな?」

星をみるひと

ラッキィ・スタアから珍客が来たらしい。 なんとなく思い当たって、カーンが1件の宿屋に顔を出してみると、懐かしいズルズルした服装の男が見えた。

ザムはげさん

いつもの悪ガキたちにからかわれたりムキになって相手をしたり、言ってみれば、だいたいいつも通りの昼下がりが過ぎて、ザムザは噴水の側のベンチにやれやれと腰を下ろした。

天より他に知る者もなく

それは穏やかな陽気がしばらくつづいていた頃のこと。差出人のない手紙がザムザの元に届いた。

夜の散歩

1 たいまつのはぜる音にあわせて、自分の影が自分の意志とは無関係に踊る様子がどうにも心許なさをあおる。明かりはむしろ陰影を作り出し、その影の濃さを際だたせる。それらはまるで石壁の隙間から止めどなくにじみ出してくるかのようだ。 嫌な考えになっ…

ポメラの来た日 7

オロクさんがようやっとダメージから復活して、突っ伏していた上体を起こすと、いかにもこちらに声をかけたものかという案配で、ルセリナが心配そうに伺っているのと目があった。

ポメラの来た日 6

電車から降りると、どんよりしていた雲からついに雨粒が落ち始めてきたようだった。 「あー、やっぱり傘持ってくるんだった…!」 レルカーまでこのまま歩いて帰る気にもならず、ニケアはとりあえず駅前のファーストフード店に入る。 (誰か通りがからないか…

ポメラの来た日 5

ベランダに出た彼は、こちらを振り向くとやたら晴れやかに笑った。 「何度みてもここからの眺めは良いな」 妙なことを言うものだ。

ふて寝

その日は木陰をザムザが独り占めしていた。

昼寝

厳しい寒さも束の間にゆるみ、正午を過ぎた辺りになると日差しは日を追う事に暖かくなってきた。食後の小休止、とばかりに、芝生のそこここに気持ちよさそうに寝ころび午睡をむさぼっている者も見受けられる。 その男も、気持ちよさそうに木陰の良い位置を占…